こんにちは。フォーチュン・カウンセラーのレイリィアスです。
今回は、京都の松尾大社(まつのおたいしゃ)を訪れます。松尾大社は、京都市の松尾山の麓に鎮座する神社で、阪急電車の松尾大社駅から徒歩約3分と、参拝しやすい場所にあります。境内へ近づくと、京都の街のにぎわいから少しずつ空気が変わり、背後の松尾山に抱かれるような静けさが感じられます。
松尾大社の信仰の始まりは、社殿が建てられるよりもさらに古く、太古の人々が松尾山の磐座(いわくら)に山の神霊を祀ったことにあると伝えられています。その後、大宝元年(701年)に、秦忌寸都理(はたのいみきとり)が勅命を受け、現在の場所に神殿を造営しました。平安京遷都後には賀茂神社とともに都の守護神として崇敬され、「賀茂の厳神、松尾の猛霊」と並び称された由緒ある神社です。
楼門には、願いごとを書いた杓子を掲げる「祈願杓子」の信仰も残されています。左右に随神を配した楼門をくぐると、いよいよ神域へ入っていくような厳かな気持ちになります。
御祭神は、大山咋神(おおやまぐいのかみ)と市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)です。
大山咋神は、松尾山とその山麓一帯を守る神様として信仰されてきました。市杵島姫命は、宗像三女神の一柱として知られ、古くから海上交通を守る神様として崇められています。山を守る神様と、水や航海にゆかりのある女神様がともに祀られているところにも、松尾大社の大きな特徴があります。
御本殿は、室町時代初期に建てられたもので、国の重要文化財に指定されています。特殊な両流造りは「松尾造り」と呼ばれ、華美に飾り立てるのではなく、長い歴史の重みを静かに伝えるような、凛とした佇まいを見せています。
松尾大社は、開拓や治水、土木、建築、商業、交通、安産など、さまざまな守護の神様として信仰されていますが、なかでも特に有名なのが、お酒や醸造の神様としての御神徳です。お酒だけでなく、味噌、醤油、酢などの醸造に関わる人々からも厚く崇敬され、全国の酒造家にとって大切な神社となっています。
境内に並ぶたくさんの奉納酒樽も、松尾大社を象徴する風景のひとつです。全国の酒造会社から奉納された色とりどりの酒樽が積み上げられた姿は、とても華やかです。境内にはお酒の資料館もあり、松尾大社とお酒の歴史や、酒造りの工程などが紹介されています。
また、社殿の背後を流れる御手洗川(みたらしがわ)の近くに湧く霊泉の「亀の井(かめのい)」は、酒造家がこの水を酒の元水に混ぜて用いてきたとされ、「延命長寿」や「蘇り」の水としても知られています。まさに奇跡の水ですね。
こちらの「相生の松(あいおいのまつ)」は、夫婦和合や恋愛成就の象徴として親しまれている御神木です。
もともとは雌雄の松が同じ根から寄り添うように育った古木で、樹齢は約350年と伝えられています。昭和31年(1956年)と翌32年(1957年)に、それぞれ天寿を全うしましたが、その後も大切に保存され、現在は覆屋(おおいや)の中に祀られています。
「相生(あいおい)」という言葉には、二つのものがともに生き、ともに年月を重ねていくという意味があります。二本の松が同じ根から寄り添って育った姿から、夫婦が仲睦まじく人生を歩む姿になぞらえられ、夫婦円満や良縁、恋愛成就を願う人々の信仰を集めてきました。
長い年月をともに生きた二本の松の姿を思うと、どこかあたたかな気持ちになります。
松尾大社では、亀と鯉が神様のお使いとして大切にされています。
伝承によると、大山咋神が山城・丹波の国を開くために保津川を進んだ際、流れの急な場所では鯉に、穏やかな場所では亀の背に乗ったと伝えられています。境内には「幸運の撫で亀」と「幸運の双鯉」が奉納され、亀は不老長寿、鯉は出世開運の象徴とされています。優しく触れながら、健康や幸運を願ってみたくなる場所になっています。
松尾大社を歩いていると、山、水、酒、そして人々の暮らしが、長い歴史の中で深く結びついてきたことが感じられます。
そして松尾大社の近くには松尾大社の摂社、月読神社(つきよみじんじゃ)もあります。
御祭神は、月の神として知られる月読尊(つきよみのみこと)です。もともとは天文や暦、占い、航海に関わる神様として信仰され、時代を経る中で、農耕を見守る神様としても地域の人々から崇敬されてきました。
月読神社の歴史はとても古く、『日本書紀』の顕宗天皇(けんそうてんのう)の487年の記述に、その始まりにつながる伝承が残されています。月神から土地を奉るよう託宣があり、月神の子孫と称した壱岐の押見宿祢(おしみのすくね)が神社を造営して奉仕したことが、創祀とされています。その後、856年に桂川の氾濫を避けるため、現在の松尾山麓へ移されたと伝えられています。
こちらは「月延石(つきのべいし)」です。
伝承によると、神功皇后(じんぐうこうごう)が筑紫に滞在していた際、この石でおなかを撫で、無事に出産されたといわれています。その後、月読尊の神託によってこの地へ奉納されたと伝えられ、現在も月読神社は安産守護のお社として広く信仰されています。
月延石の前に立つと、命を守り育てたいという、時代を超えた優しい願いが伝わってくるようでした。
境内にはほかにも、松尾大社の神幸祭における船渡御の道中安全を祈る御船社(みふねしゃ)や、月読命を崇敬したと伝えられる聖徳太子を祀る聖徳太子社があります。また、「穢解の水(かいわいのみず)」と呼ばれる水場もあり、小さな境内の中にさまざまな祈りの場所が大切に守られています。
松尾大社が酒造や開運の力強い信仰を感じさせる場所だとすれば、月読神社には、月明かりのような静けさと、命を優しく見守る祈りの空気が流れているように感じられます。
松尾大社は、何か新しいことを始めたいときや、心と暮らしの流れを整えたいときに訪れたくなる場所、月読神社は慌ただしい日常から少し離れて、心を静かに整えたい方にも訪れてほしい場所です。
異なる祈りの空気に触れられる、京都を代表するミラクル・パワースポットでした。
ありがとうございます。
次回は、願いをひとつだけ叶えてくださることで知られる鈴虫寺をご紹介します。どうぞお楽しみに。
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原稿提供元 アカデメイア