16.塔
今回は「塔」のカードを読み解いていきましょう。
絵柄を見ると、全体的に黒く、思わずドキッとしてしまう様子が描かれています。
高くそびえたつ塔に雷が落ち、炎とともに2人の人物がまっさかさまに落ちていく…。
一体このカードは何を暗示しているのでしょうか。
「塔」のカードは、旧約聖書の「バベルの塔」の説話がモチーフではないかと言われています。
『人間が神への対抗心から高い塔を建てた結果、神の怒りに触れ、突然雷を落とされる。その結果人間たちの言語はバラバラになってしまった』というお話です。
このカードは、「突然雷を落とされる」すなわち「予想もしないショックな出来事」を表しています。
私たちはそれが起こるまで「まさか、そんなことが起こるはずもない」と予想さえしません。それでも、起こる時は起こってしまうのです。「人間たちの言語が突然バラバラになる」というような、思わず言葉を失ってしまうような出来事が…。
実際の鑑定の場面で読むとしたら、恋愛でも仕事でも、予測していなかった事件やアクシデントの兆しが出ています。カードの雰囲気からして、あまり嬉しい出来事ではなさそうですね…。
相手の気持ちの部分に出ていたら、その人にとって衝撃的な出来事が起きていたり、何かがきっかけであなたへの気持ちが変化していたりすることも…。いずれにしても注意が必要です。
アドバイスカードとして読むとしたら、必要なのは「ショック療法」。普段と同じやり方、予測できる手段ではなく、あえて思い切ったことをするのが有効でしょう。
最後に1つ。この「塔」のカードが表すのは「突然のショックな出来事」で、一見すると突然起きているように見えるのですが、実はその原因は日々積み重なっているということです。
「バベルの塔」の説話では、本来は敬うべき神に対し、人間たちは「対抗してやろう」と高い塔を積み上げてきました。この「おごり」こそが、すべての元凶になっているのです。
私たちがこのカードを見た時には、自分が「当たり前だ」と思っていること、「こうあって当然」と思っていることこそを疑うことが必要です。また、自分が「おごり高ぶる」気持ちを持っていないかどうか…。そうすれば「原因が日々積み重なる」ことを、少しは避けられるでしょう。
そして、残酷なようですが、「塔」のように「形があるもの」はいつか壊れるということを覚悟しておくのも必要なのかもしれません。
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原稿提供元 アカデメイア