15.悪魔
それでは、「悪魔」のカードを読み解いていきます。
このカードを見た時、皆さんはどういう印象を持ちますか?
タロット・カードの知識がなくても、このカードを見ると「怖い!」とおっしゃる方が多いかも。それだけインパクトが強いカードです。
では、絵柄に注目してみましょう。描かれているのは、私たち人間が「本能的に忌み嫌う物」ばかりです。
全体的にダークな雰囲気が漂う中に、3人(匹?)の姿が描かれています。
まず1人は、中央にどんと居座る獣のような人物。角を生やした恐ろしい顔に、でっぷりとした肉体、毛むくじゃらの足…。
そして残りの2人は、鎖につながれた裸の男女。人間のようにも見えますが、角と尻尾を生やしているので、人間から変化してしまったのかもしれません。
ところで皆さん、「悪魔に魂を売る」ということわざがありますよね。
自分の願いを叶えるために、自分の心(魂)を売り払ってしまう。すなわち、人間としての「まっとうな精神」をなくしてしまってもいい、どんな犠牲を払ってでも欲望を成し遂げたいという強い気持ちの表れとも言えるでしょう。
「悪魔」のカードが示しているのは「自分の欲望を叶えようとする強い思い」、そして「その欲望だけにとらわれている状態」そのものなのです。
例えば、恋愛中の女性が、「たった1回」彼の携帯電話を盗み見てしまったとします。この段階でやめてしまえればよかったのですが、「もう1回だけ、もう1回」と何度もそれを繰り返してしまい、最終的にはどんな手段を使ってでも携帯を見ずにはいられなくなってしまう…。これなどは負の快感にはまってしまった「悪魔」の状態と言えるでしょう。
もちろん「健康で健全」ではありませんよね。そして、一度「悪魔」の状態にはまってしまったら、そう簡単には抜け出せないのです…。
最後に一つ申し上げたいのは、「悪魔」の状態は不健全ですが、私たちは、そのぐらいの「気迫」があってこそ、成し遂げられる出来事もあるということです。
何が何でも自分の願いを叶えようとする時に、「皆で仲良く」「平和に、トラブルを起こさず」といった、きれい事だけでは到達できない世界があります。
最終的に、「悪魔に魂を売ってでも」という強い気持ちこそが、不可能を可能にすることがあることも忘れないでください。
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原稿提供元 アカデメイア