9.隠者


今回は「9.隠者」のカードを読み解いていきましょう。

まず絵柄に注目してみましょう。
分厚いコートに身を包んだ1人の老人の姿がそこにはあります。左手には杖、右手には静かに彼の周囲を照らす灯り。老人はうつむきがちで、その表情を読み取ることはできません。老人の足元は白っぽく、周囲には建物も植物もありません。そこがどういった場所なのか、私たちに読み取ることはできません。

このカードのタイトルは「隠者」。もちろん、この老人こそが「隠者」です。
「隠者」とは、俗世間との交わりを断ち、1人で黙々と修行に励む人物のことを言います。この老人にとって、現実世界で起こることはどうでもよいこと。他人に関心はなく、ひとり自分だけの世界に閉じこもっているのです。孤独を好み、私たちから見ると少々偏屈に思えるかもしれません。

では、この老人がただの「偏屈な人物」なのかというと、一方では素晴らしい面を持っています。まず、左手に持った杖は、この人物が持っている知恵の象徴です。私たちの想像を超えるほどの知識を持っている可能性があります。そして、右手に持っている灯りは、老人が信じていることの象徴。とても美しい光です。この人物の純粋さを表しているのではないでしょうか。

ところでみなさん、周囲にこういった「隠者」的な人物はいませんか?
職場の上司、学校の先輩、クラスメイト…。自分だけの世界を持っていて、それに没頭し、ほかのことには興味がない。社交的ではないので、ちょっぴり話しかけにくいかもしれませんね。例えば、漫画でもアニメでも勉強でも、自分の好きなことに関しては夢中になっている様子なのがうかがえる人…。

もし、恋愛中の彼の気持ちにこのカードが出てきたら、絵柄の通り「自分の世界を大切にしている」と思った方がいいでしょうね。背中を向けられてしまっていて、話し合ってどうにかなる雰囲気ではありません。ある意味では、心を開いていないとも…。

アドバイスとしては、彼のその「純粋な世界」を大切にしてあげること。笑い飛ばしたり、無理に明るい方に引っ張ろうとしたりするのは、今の彼にとって苦痛なだけ。彼のことを真に理解しようとし、彼の孤独を尊重できる人だけが、そばにいられるのかもしれませんよ。