6.恋人

今回は「恋人」のカードを読み解いていきましょう。

一見して色合いも明るく、ハッピーな雰囲気があふれています。カードのタイトルはずばり「恋人」。恋占いでこのカードが出てきたら、まず悪い気はしないでしょう。

カードに描かれているのは、裸でくつろぐ男女のカップルです。上空には２人を見守る天使の姿が。地上にいる２人の背後には樹木が立ち並び、女性の近くの木には果実がたわわに実っています。

ここにあるのは、何の不安もないとても穏やかな光景です。でも、女性の背後に注目してみて。一匹のヘビが樹木をはう姿が確認できるでしょう。このヘビは、いったい何を表しているのでしょうか…。

みなさんは、旧約聖書の「アダムとイヴの話」を知っていますか？
神に見守られながらエデンの楽園に住むアダムとイヴ。ここでは働かなくても食事に困ることはなく、労働の必要はないし、そのほか不安なこと、嫌なことも一切ありません。２人が裸でいるのも、衣類を身にまとって自分を保護する必要がないからなのです。
とても幸せな時間を過ごしていた２人ですが、イヴは「食べてはいけない」とされていた果実を、ヘビにそそのかされて食べてしまいます。その結果、神の怒りに触れ、楽園を追放される…というお話です。
このカードに描かれているのは、果実を食べてしまう前のアダムとイヴです。まだ２人が楽園で何の心配もない時間を満喫している姿なのです。

このカードを私たちの恋に例えるなら、「恋が始まったばかり、付き合いたてのラブラブな状態」でしょう。相手のことしか見えず、恋のことだけ考えていればよく、何の不安も心配事もない。まさか２人の間に影が差すなんて考えもしない、そんな恋の状態でしょう。

でも、残念なことに、恋って永遠にラブラブなままで続いていくものではありません。
恋が進んでいくと、片方の気持ちが落ち着いてきたり、お休みの日も恋以外のやりたいことに取り組むようになってしまったり…。ずっと夢見心地ではいられないものですよね。

このカードは、この瞬間はウキウキしていて楽しいけれど、それがずっと続くとは限らないということも表しています。今はいいけれど、いつかは…。長続きする保障はどこにもないのです。

そして、このカードで忘れてはならないのが「ヘビ」の存在です。
どんなに幸せで不安のない状態にも、ヘビのような誘惑はすぐそばに潜んでいるものです。浮かれているだけでは痛い目を見てしまうという、意外にハードな要素を秘めたカードなのです。