2.女司祭長


今回は静かな雰囲気が漂う「女司祭長」のカードを読み解いていきましょう。

絵柄には、ローブを身にまとった女性が神殿の中で静かに座っている様子が描かれています。女性の表情は乏しく、感情を読み取ることはできません。その脇には白と黒の柱がそびえ立ち、背後には「豊かに実るザクロ」を描いた布がかけられています。

このカードは、決して交わることがない「2つの世界」がテーマになっています。
例えるなら、…。これらは厳密に区分けがされている存在です。
「白と黒の間をとって、グレー」というわけにはいきません。お互いの存在を知りつつも、冷静に向き合うという象意を持っています。ある意味では「厳しさを持った」カードと言ってもいいでしょう。

描かれている女性に注目してみましょう。彼女から、女性らしい優しい雰囲気、柔らかさ、甘さは一切感じられません。手に持った書物は「TORA」と呼ばれ、ユダヤ教の神の教えを記したものです。彼女は神の教えにのみ従い、神殿の奥深い場所で淡々と規則正しい日々を送っています。そんな彼女に容易に近付くことはできません

実際に占った時には、「けじめをつける」「白黒はっきりさせる」という場面で出てくることがあります。
恋愛の場面で出てくると、少々厳しいイメージになるかもしれません。2人のうちのどちらかが、冷静な目線で相手を見つめている…ということも。本来恋は、もっと温かみがあり、決して冷静ではいられないものなのに…。

勉強、ビジネスで占った場合には、「厳しい訓練に取り組む」ということを表すことが多いでしょう。大きな目的を達成するには、甘えを排除した厳しい生活が必要なのです。また、「静かに集中できる環境が手に入る」と読むこともできます。「最終結果」でこのカードが出てきた時には、良くも悪くも「現実」を突きつけられるでしょう。

このカードは、我々が生きていくために、時には「ストイックさ、禁欲的な要素」が必要だということを、我々に教えてくれているのです。白黒はっきりさせるからこそ、その先があるのですから。