こんにちは。フォーチュン・カウンセラーのレイリィアスです。
今回は京都の臨済宗南禅寺派の大本山の寺院である南禅寺(なんぜんじ)です。
南禅寺は地下鉄東西線の蹴上(けあげ)駅から徒歩約5分にあるのですが、近くにはこういった散歩道もあり、癒しスポットになっています。
この「蹴上」という地名ですが、由来の一つに、源義経が奥州平泉へと向かう途中でのお話があります。平家武者の関原与一重治(せきはらよいちしげはる)と9人の従者が通りかかった際に、その従者が乗っていた馬が水溜りの水を義経に蹴りかけて義経の衣服を汚してしまいました。怒った義経は関原与一重治の家来たち9人を斬り捨てました。平家打倒を目指す義経はこの出来事を、「奥州に向けての首途(かどで)の吉兆」だと言って喜びました。この故事にちなんで、「清水」と言われていた地域がいつしか「蹴上」と呼ばれるようになったということです。切り殺された9人は村人たちが弔い、石仏が祀られたそうです。戦国の世の話とはいえ、ちょっと恐ろしいお話ですね・・。
蹴上駅から南禅寺へ向かう途中にレンガ造りのレトロなトンネルがあります。明治21年に完成した、長さ約2メートルのトンネルで「ねじりまんぽ」と呼ばれています。古い言葉でトンネルのことを「まんぽ」と呼ぶそうで、このトンネルの中はなんだか奇妙に捻じれているように見えています。トンネルを通ると不思議な空間につながっていそうです・・。
南禅寺は第90代亀山天皇の「すべてのものの生命を尊び、あるがままに生かし大切にする、心のやさしい人が育つように」という御心をもとに、1291年に開創されました。
正式名称は「太平興国南禅禅寺(たいへいこうこくなんぜんぜんじ)」です。
境内に入ってすぐ見えてくるのは、南禅寺のシンボルである重要文化財の「三門」です。
南禅寺の三門は、とても圧倒的な迫力のある太い柱になっていて、日本三大門の一つに数えられ、別名「天下竜門」と呼ばれています。拝観料を支払って階段で楼上へ上がると、回廊を一周することができます。そこから望む景色は、歌舞伎の演目で石川五右衛門が「絶景かな~!絶景かな~!」と名台詞を放つシーンの舞台にもなっています。
境内の自然と、風情ある伝統的建築物が美しく融合調和した唯一無二の三門は間近で見ると本当に迫力が満点で、力強いパワーを感じられます。
三門の先は法堂へと続く一本道となっていて、この時期は手入れの行き届いた新緑の美しい風景が広がっていました。秋になると紅葉の名所にもなるので、季節ごとにさまざまな楽しみ方ができるのが南禅寺の庭園の特徴になっています。よい氣が通っています。
ご本尊の釈迦如来が祀られている「法堂」です。
内部に立ち入ることはできませんが、屋根の下に龍の彫刻があるそうなので、見つけてみるといいですね。この南禅寺周辺は観光客も比較的少なくてゆっくりできて穴場でした。
そして南禅寺の三門と共に絶対ここに来てみたかったのが、南禅寺のすぐ隣にある随一のフォトスポットである「水路閣」です。赤レンガのアーチ状をした水道橋は、テレビやアニメのロケ地としても有名で、私も京都を舞台にした某サスペンスドラマシリーズが大好きだったので、感激です。つい、ここに立って謎解きしてみたくなる気分♪♪
この水路が作られた理由は、明治維新の時に都(みやこ)が京都から東京へと移されたことによって衰退した京都の復興が目的だったそうです。琵琶湖からの水路を作ることで、電気発電、防火用の水の確保や、運河としての用途、また水力事業などの水を使うことで、さまざまな京都の産業が大きく発展していきました。
当時の京都の近代化につながったこのレンガでできた水路閣は、現在も滋賀県の琵琶湖から京都へ水を運ぶ疏水として活躍しているのです。すごいですね。
京都に貢献してきた赤レンガ作りのアーチ型の水路閣は、現在では、そのレトロな洋風の古めかしさと南禅寺の風情美とがうまくマッチングして写真映えスポットとして名所となっています。建設当時は珍しかったレンガ造りが、今では本格的なレトロ建築となって残っているのがありがたいです。ノスタルジックな趣があって素敵ですね。異世界に迷いこんだかのよう・・。ドラマなどのロケ地として長年愛されている理由がわかります。
そして南禅寺から徒歩8分の所にある「蹴上(けあげ)インクライン」というところにやってきました。インクラインとは琵琶湖疏水という舟運ルートのある区間の傾斜を利用してレールを敷き、動力で貨物を運搬する装置のことです。
この蹴上インクラインは1891年から1948年まで使用されていた京都の蹴上地域で運行されていた傾斜鉄道で、今は廃線跡の観光スポットになっています。
蹴上インクラインは、疎水上流の「蹴上船溜」と下流の「南禅寺船溜」とを結んでいましたが、上流から下流まで約36メートルもの高低差があるために、通常のように舟で進むことが難しいことから、傾斜鉄道のしくみを使い、荷物の積み下ろしをせずにケーブルカーのように舟や資材を運んでいたそうです。 動力は同時に建設された蹴上発電所の電力で賄っていました。この蹴上インクラインは全長582メートルの世界最長の傾斜鉄道跡となっています。
当時はこのような台車に船を乗せて運搬していたそうです。
昭和に入り、鉄道など他の輸送機関が普及することで蹴上インクラインの運行が停止、やがて廃止されることになります。インクラインの線路も撤去されその姿を一度消してしまいましたが、1977年に産業遺産として保存されることになり、線路も再度復元されました。現在では上流部分と下流部分に当時の様子を伝える台車も2台置かれ、国の史跡として整備されています。
特に春の桜のシーズンになると、両側の線路沿いに植えられているソメイヨシノやヤマザクラが咲くので、写真映えする綺麗な景色になるそうです。桜の季節にまた訪れてみたいですね。
南禅寺周辺は、ドラマで毎回観ていた聖地がたくさんあったので、ようやく来ることができて感動しました。こうした先人たちの素晴らしい遺産を次の時代へと遺していくことも大切なことですね。
ありがとうございます。
次回は「小田原城2」です。お楽しみに。
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原稿提供元 アカデメイア