夢は私たち人間にとって､古くから謎に満ちた存在であると同時に､とても魅力的なものでありました｡それは､世界中の神話や伝説などに夢についての物語が多く残されていることからもうかがえます｡
世界的にもっとも有名な夢のｴﾋﾟｿｰﾄﾞといえば､新約聖書の中｡聖母ﾏﾘｱが受胎告知を受けた場面でしょう｡ﾏﾘｱの夢の中にある夜突然天使が現れ､彼女に神の子をみごもったことを伝えるのです｡
また､歴史的なｴﾋﾟｿｰﾄﾞとしては､ｼｰｻﾞｰの夢の話が有名です｡ｼｰｻﾞｰはあるとき､母親を犯す夢を見ました｡あまりにもその夢が生々しいものだったので､気になった彼は､占い師にその夢についてたずねました｡占い師の話では､それは母なる大地を支配することを表す吉夢だというのです｡そしてその予言通り､ｼｰｻﾞｰはほどなく天下を取ることになりました｡
もちろん日本にも､夢に関する数多くのｴﾋﾟｿｰﾄﾞが残されています｡例えば､平安時代｡ふたりの皇子のどちらを跡継ぎにするか迷った朝廷は､皇子たちを眠りにつかせその夢の内容で後継者を決めました｡
また､北条政子はあるとき､妹の吉夢を｢それは悪い夢だから｣と言って買い取りました｡しかし実際に妹が見たのは大吉夢｡夢を買い取ったことで政子は源頼朝の妻になり､頼朝も政子を妻にすることで最高の位である征夷大将軍の地位を手にすることができたといわれます｡
これらの夢にまつわる様々な神話や伝説､ｴﾋﾟｿｰﾄﾞでもわかるように､夢は昔の人々にとって神の言葉を聞くためのものであったり､非常に神秘的な存在だったわけですね｡

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